日本臨床細胞学会雑誌
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胃癌術中腹腔内洗浄細胞診の検討
組織学的背景を中心に
加藤 拓高橋 久雄渡辺 義二佐藤 裕俊武田 敏
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1992 年 31 巻 6 号 p. 925-930

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抄録

胃癌349例について手術中腹腔内洗浄細胞診を行い検討した.(1) 陽性例は62例 (17.8%) であり, 深達度との関係はssγにおいてすでに1例 (1.8%) 認められ, se, seiでは各42例 (52.5%), 6例 (66.7%) と高率であった.(2) 腫瘍の大きさが平均3cmにて陽性例がみられ4cmまでに4例 (13.3%) であり, さらに大きくなるにしたがい陽性例が徐々に多くなり11cm以上14cmまでに8例 (53.3%) と高率を示した.また特に深達度se例においてその傾向は強かった.(3) 腹膜播腫との関係はPOにおいてすでに33例 (10.5%) を示し, P3においては16例 (100.0%) 全例陽性であった.(4) 腫瘍肉眼形態はBorrmannIV型が66.7%と最も多く, ついでIII型25.0%の順であった.(5) 陽性例の組織型は低分化腺癌 (por) が35例 (28.5%) と多かった.(6) 漿膜下組織層での浸潤増殖様式 (INF) はγ型58%と優位を示し, つぎにβ型40%, α型はわずか2%と少なかった.これを腫瘍の大きさとの関係でみると3~4cmと比較的小さな腫瘤でも陽性例はγ型を示すものに多かった.それに対しα 型は11~14cmと大きな腫瘤にてようやく1例認められた.(7) 腹腔内での胃癌細胞の出現形態は小集塊型54%, 散在型38%であり, この2つの型の細胞出現が大多数を占めた.
このように腹腔洗浄細胞診の成績は胃癌の大きさ, 組織型, そして深達度, 特に漿膜下組織層での浸潤増殖様式に密接に関係し, さらに腹腔への出現細胞形態にも大きく影響しているものと考えられた.

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