1993 年 32 巻 1 号 p. 26-30
中等度異形成から浸潤癌までの子宮頸部扁平上皮病変33例について, Cervex-brushおよび綿棒を用いて採取した66標本の細胞診断と最終組織診断との対比を行った.細胞診による推定組織診と最終組織診が完全に一致した「正診例」は, Cervex25例 (75.8%), 綿棒12例 (36.4%) であった.細胞診が「underdiagnosis」の症例はCervex4例, 綿棒21例 (うち3例はfalsenegative), 細胞診が「overdiagnosis」の症例はCervex4例, 綿棒0例であった.各標本で正常頸管腺細胞および扁平上皮化生細胞の出現量を半定量的に検討し, 細胞診断を比較したところ, 化生細胞のみられない標本にunderdiagnosisのものが多かった.頸部扁平上皮病変での綿棒採取標本は, Cervexに比べるとunderdiagnosisが多いだけでなく, ときにfalsenegativeもあり, 採取法として問題があると思われる.