過去19年間に当院において経験した粘液産生肺腺癌切除例47例について, 核DNA量を測定し予後と比較検討した. 杯細胞型腺癌25例では, DNA diploidy 16例 (64%), DNA aneuploidy 9例 (36%), 気管支腺型腺癌22例では, DNA diploidy3例 (14%), DNA aneuploidy 19例 (86%) と, 同じ粘液産生腺癌であってもDNA ploidyの比率に著しい差異がみられた. さらに腺癌細胞亜型ごとに, DNA diploidy群とDNA aneuploidy群の5年生存率を比較したが, 杯細胞型腺癌ではそれぞれ71.4%, 62.5%, 気管支腺型腺癌ではそれぞれ33.3%, 48.3%と両群間に有意差は認められなかった. しかし, 杯細胞型腺癌では, 癌の進展度を加味するとびまん型では, DNA aneuploidy群の方がDNA diploidy群に比べて予後不良な傾向にあった.