日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
粘液産生肺腺癌の核DNA量と予後
児玉 哲郎松本 武夫井上 雅博西山 祥行北條 史彦松本 武敏西脇 裕阿部 薫
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 32 巻 1 号 p. 57-61

詳細
抄録

過去19年間に当院において経験した粘液産生肺腺癌切除例47例について, 核DNA量を測定し予後と比較検討した. 杯細胞型腺癌25例では, DNA diploidy 16例 (64%), DNA aneuploidy 9例 (36%), 気管支腺型腺癌22例では, DNA diploidy3例 (14%), DNA aneuploidy 19例 (86%) と, 同じ粘液産生腺癌であってもDNA ploidyの比率に著しい差異がみられた. さらに腺癌細胞亜型ごとに, DNA diploidy群とDNA aneuploidy群の5年生存率を比較したが, 杯細胞型腺癌ではそれぞれ71.4%, 62.5%, 気管支腺型腺癌ではそれぞれ33.3%, 48.3%と両群間に有意差は認められなかった. しかし, 杯細胞型腺癌では, 癌の進展度を加味するとびまん型では, DNA aneuploidy群の方がDNA diploidy群に比べて予後不良な傾向にあった.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top