日本臨床細胞学会雑誌
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縦隔原発びまん性大細胞型リンパ腫の1例
安田 大成山上 千秋石上 増雄平田 明宏大林 千穂伊東 宏
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1993 年 32 巻 6 号 p. 1012-1016

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抄録

26歳, 女性, 上大静脈症候群で発症, 画像上前上縦隔に最大径7.5cmの腫瘍であり, 摘出試みるも肺および上大静脈浸潤のため不可能, 術中迅速診断が施行された.組織学的にはいわゆるround cell tumourであり, 確定診断にいたらなかったが, 捺印細胞診ではときに切れ込みを有する不整形核に数個の核小体の目立つ, 胞体の乏しい細胞が散在しており, lymphomaを強く疑わせ, 後に免疫組織化学的検索によりnon-Hodgkin's lymphoma, B-cell, diffuse, large cell typeであることが確認された.縦隔原発びまん性大細胞型リンパ腫 (MDLL) はまれであり, ことに迅速診断時, ほかの縦隔腫瘍との鑑別は困難である.MDLLの診断における捺印細胞診の有用性を中心に, 本例の組織像, 電顕所見その他若干の病理学的特徴について報告する.

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