宮城県の子宮頸癌集団検診におけるfalse negative症例のretrospectiveな検討を行った.
1984年4月から1991年3月までの7年間に, 集団検診で発見された浸潤癌症例のうちで1年前に検診歴があり, その子宮頸部細胞診が陰性であった25例 (扁平上皮癌19例, 頸部腺癌6例) をfalse negative症例とした.
1) 浸潤癌発見1年前の陰性細胞診標本 (25例) の適性評価はsatisfactoryが20例, less than optimalが3例, unsatisfactoryが2例であった.
2) unsatisfactoryを除いた評価可能な23例中4例はscreening errorと考えられ, 扁平上皮癌で118%(2/17), 頸部腺癌で33.3%(2/6) と頸部腺癌に多い傾向が認められた.それ以外の19例については異型細胞を認めなかった.25例全体でみるとscreening errorが16%(4/25), sampling errorが84%(21/25) と考えられた.
3) 扁平上皮癌では, その自然史がほぼ解明されており, また細胞診断の精度がきわめて高いので, sampling error, 特に病変部からの細胞採取が適切に行われていないことがfalse negativeの大きな原因であると考えられた.頸部腺癌では, 病変部位の問題による細胞採取の困難さに起因するsampling errorと, 腺細胞異型の診断の難しさが要因と考えられた.