日本臨床細胞学会雑誌
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髄液細胞診にて診断が困難であった髄膜悪性黒色腫の1例
土井 正輝板倉 誠木下 明雄大場 祥柴山 英一石川 英彦桑原 紀之田所 衛
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1993 年 32 巻 6 号 p. 965-969

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抄録

髄液細胞診で腫瘍細胞の質的診断が困難であった髄膜悪性黒色腫について報告する.
症例は全身に多数の色素性母斑を認める23歳女性で, 急性の脳圧充進症状を契機に当院に来院した.髄液細胞診では腫瘍細胞は少数でまばらに存在し, メラニン顆粒は明確には観察し得なかった. 摘出された腫瘤の病理組織にてヘマトキシリンエオジン染色でメラニン顆粒を認め, 特殊染色ではグリメリウス染色, フォンタナマッソン染色で陽性顆粒をNSE染色, S-100蛋白で陽性像を示した. さらに電顕標本で細胞質に多数のMelanosomeが確認された. 皮膚の臨床所見との関連から本症例はMelanose neurocutanéeを基盤とした悪性黒色腫に相当した.

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