日本臨床細胞学会雑誌
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血液疾患に合併した肺病変における気管支肺胞洗浄細胞診の意義
経気管支肺生検との比較
馬嶋 恵子設楽 保江古川 悦子長谷川 康子川口 研二小池 盛雄
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1994 年 33 巻 3 号 p. 430-436

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抄録

肺疾患の合併が疑われ気管支肺胞洗浄 (BAL) の施行された血液疾患57例を対象に, 細胞像, 病原体の検出などに関して同時に行われた経気管支肺生検 (TBLB) 20例の結果と比較検討した.
(1) BAL細胞診57例中27例 (47.4%) に病原体の検出および原疾悪の浸潤が診断された.P.carinii (PC) 12例, CMV 10例, クリプトコッカス1例, アスペルギルス1例, Herpes simplexvirus 1例, 悪性リンパ腫の浸潤2例であった.病原体の病変の重複症例はなかった.
(2) TBLBが施行された症例20例中7例で診断が確定された.このうちBAL陽性例6例で同一診断が確認されたが, BAL細胞診でPC陽性であった2例とCMV陽性の1例はTBLBでは感染は証明されず診断にいたらなかった.
(3) TBLBでBusulfanによるDrug induced pneumoniaと診断された症例ではBAL細胞診において肺胞上皮由来の異型細胞が多数認められた.
以上の成績から, 血液疾患に合併した肺病変, 特に日和見感染症の診断にBAL細胞診が有用であることが証明された.

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