日本臨床細胞学会雑誌
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子宮体部に発生したepithelioid leiomyosarcomaの1例
捺印細胞診と免疫組織化学的検索を中心として
竹原 和宏永井 宣隆上馬場 是美大濱 紘三
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1994 年 33 巻 3 号 p. 563-567

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抄録

子宮原発のepithelioid leiomyosarcomaの1例を経験したので報告する.
症例は82歳の女性で, 低血糖による意識障害を主訴に内科を受診し, 画像診断により下腹部腫瘤を指摘され, 当科へ紹介受診となった.開腹術で子宮壁から発生した腫瘍であることが確認され子宮全摘出術ならびに両側卵巣摘出術を施行した.腫瘍部分の捺印細胞診では, 出血性背景のもとに軽度の大小不同を伴う多稜形ないし短紡錘形の腫瘍細胞を認め, 核は類円形ないし楕円形で, 一部の細胞では分葉状であり, クロマチンは顆粒ないし粗網状で, 明らかな核小体は観察されなかった.細胞質は辺縁明瞭でcyanophilicで比較的広く厚かった.また多核細胞, 巨細胞も散見された.病理組織学的には, 豊富な細胞質を有する短紡錘形細胞と多角形細胞の2種類の細胞が浸潤性に増殖しており, 大部分は明るい胞体を有する類上皮様細胞よりなり, 核分裂像は平均10/10HPF認められた.また免疫組織化学的検索では, vimentin, desminがともに陽性となり, cytokeratinが巣状に陽性を示した.以上より子宮に原発したepithelioid leiomyosarcomaと診断した.

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