日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸癌に対する白金製剤の動注化学療法の効果に関する細胞学的評価について
藤吉 啓造田中 博志田崎 民和蓮尾 泰之森 一朗黒松 肇江口 博敏薬師寺 道明藤吉 りさ
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1994 年 33 巻 4 号 p. 599-603

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抄録

進行子宮頸癌症例に対しNeo-Adjuvant Chemotherapyとして白金製剤による動注化学療法を施行し, 子宮膣部剥離細胞の経時的変化を観察することにより, 治療効果判定の可能性を検討した.
対象は1989年7月より1992年5月までに当科において診断された進行子宮頸癌患者14例である. 治療法は, シスプラチンもしくはカルボプラチンを左右の内腸骨動脈より注入した. 動注化学療法は3週ごとに2コース行い, 動注前および動注1コース後1週目, 2週目, 動注2コース後1週目, 2週目に子宮膣部病巣部より綿棒i擦過による細胞診を行った.
細胞診では腫瘍細胞数および正常細胞数の推移, また, 細胞変化の個々の所見として, 腫瘍細胞における核腫大, 核濃縮, 空胞変性, 多角化の4つの所見の出現頻度に注目した.
治療の経過に伴い腫瘍細胞数の減少および正常細胞数の増加傾向が認められ, 治療効果として治療開始後より核腫大, 核濃縮細胞の出現が著明で治療の経過に従い, 核濃縮細胞の出現頻度は減少した. また空胞変性細胞も治療開始後より認められたが増加傾向はみられず出現頻度は低かった. 多核細胞の出現頻度は治療の経過とともに増加し, 抗腫瘍効果を反映していると考えられ, 最も客観的な指標となりうると考えられた.

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