日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜癌, 子宮内膜増殖症のDNA ploidyとHER-2/neu protein過剰発現についての検討
渡辺 明彦佐々木 寛
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1994 年 33 巻 4 号 p. 612-619

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抄録

子宮内膜癌 (29例) と子宮内膜増殖症 (17例) のパラフィン包埋切片を用いて, Feulgen染色による核DNAの定量および免疫染色によるHER-2/neu protein (HER-2) の定量を行い, DNAPloidyおよびHER-2過剰発現と腫瘍の進展および予後との関連を検討した.なお, それらの定量には顕微鏡画像解析装置 [Cell Analysis Systems (CAS)] を用いた.
DNA ploidyについては, aneuploidyの例は内膜癌の37.9%(11/29) に認められたが, 内膜増殖症では腺腫性増殖症の1例のみで5.9%(1/17) であった.内膜癌の5年生存率はdiploidy群が88.9%, aneuploidy群が63.6%であり, 両群間の予後に差のある傾向が示唆された (0.05<P<0.1). HER-2過剰発現は内膜癌の13.8%(4/29), 内膜増殖症の5.9%(1/17) に認められた. そしてHER-2過剰発現例においては, 病理組織学的に脈管侵襲, 高度の筋層浸潤および卵巣転移が多くみられた.特に卵巣転移とHER-2過剰発現との間には有意な相関が認められた (p<0.05).

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