日本臨床細胞学会雑誌
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顆粒膜細胞腫と子宮内膜癌が合併した1症例
伏木 弘藤村 正樹山川 義寛堀 慎一泉 陸一
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1994 年 33 巻 4 号 p. 673-678

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抄録

古くから顆粒膜細胞腫と子宮内膜癌の合併例についての報告があるが, 本邦においてはわれわれの検索する限りでは8例にすぎず, 術前に高エストロゲン血症を確認した報告がない. 今回われわれは, 閉経後に高エストロゲン血症を呈する64歳の本症例を経験した. 患者は不正性器出血を主訴に来院し, 子宮内膜生検で内膜型腺癌, 高分化型, 血中ホルモン測定でE2: 56pg/ml, FSH: 15.8mIU/ml, 画像診断にて右卵巣が栂指頭大の一部嚢胞性の腫瘤としてみられ, ホルモン産生腫瘍合併子宮内膜癌の診断のもとに手術を行った. 術後診断は, 栂指頭大の顆粒膜細胞腫を伴う子宮内膜癌であった. 子宮内膜癌組織のエストロゲンレセプターとプロゲステロンレセプターは高値を示し, 内膜癌および顆粒膜細胞腫のp53蛋白, c-erbB-2蛋白, 上皮増殖因子受容体 (EGFR) の発現を免疫組織化学的に検討したところ, p53蛋白のみが顆粒膜細胞腫で陽性であった. さらに顆粒膜細胞腫のフローサイトメトリー分析よりDiploidpatternでS期が26.5%と高比率を示したので文献的考察を加えて報告する.

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