日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
男性非浸潤性乳管癌でアポクリン癌の形態を示した1例
金城 光幸平 圭子照屋 彰饒平名 長令喜納 治男上原 哲夫内間 久隆国島 睦意
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 33 巻 4 号 p. 691-696

詳細
抄録

男性乳癌で非浸潤性アポクリン癌と分類した方がよい症例を経験したので報告する.症例は74歳男性. 右乳房腫瘤を主訴として来院した. 迅速病理診断が施行され悪性と診断された. そのときの生検材料より捺印標本を作製しさらに一部を電顕用に固定した. 細胞像は, 散在性あるいはゆるやかな結合性の集塊として認められた. 腫瘍細胞は大小不同が強く, 大きさは13-58μ, 平均30μであった. 細胞質は広く明瞭な好酸性顆粒がびまん性に認められた. 核は顆粒状クロマチンが増量し, 明瞭な核小体を1ないし2個認めるものもあった. 切除乳房は約300gで最長径約18cmで, 乳頭部の下層には約8cmの大きな嚢胞がありその内面より多発性乳頭状の腫瘍性病変が認められた. 組織学的には, 細胞質が強く好酸性の腫瘍細胞が主として乳頭状構造をとっており, 腫瘍細胞は嚢胞内に限局していた. 組織学的にアポクリン癌の形態を示す非浸潤性乳管癌であった.また, 抗gross cystic disease fluid protein 15 (GCDFP-15) による免疫染色を行ったが, 腫瘍細胞のほとんどが抗GCDFP-15に弱陽性から一部強陽性を示した. 電顕的観察では, 腫瘍細胞の細胞質内にはきわめて多数のミトコンドリアが認められ, 他に少数個のオスミウム濃染の円形分泌顆粒を認めた. したがって本症例の強く好酸性の細胞質内顆粒はミトコンドリアが主体であると考えられた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top