日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
縦隔に発生した興味あるEpstein-Barr virus (EBV) 関連リンパ腫の1例
竹内 啓晃平井 莞二藤井 華子竹内 隆子亀井 美由紀平田 祐子原田 美枝益田 道義
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 33 巻 4 号 p. 712-716

詳細
抄録

気管支炎治療後, 呼吸困難と胸水貯留が出現し細胞診にて悪性リンパ腫 (ML) と診断後にIn Situ Hybridization (ISH), Polymerase chain reaction (PCR), Southern-Hybridization法を用いてEBV関連MLと診断された.さらに免疫組織化学染色にて細胞障害性リンパ球 (CTL) の標的となりえるEBV核・膜蛋白を多量に発現しており, 宿主免疫機能を考えるうえでも非常に興味ある症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.患者は免疫不全・低下を認めず, MLと細胞診断後, CTにて縦隔腫瘍が指摘された.剖検後の摘出組織切片のISHにてEBER (EBV encoded small RNA) を, 免疫染色にてCD21, EBNA-2 (EBV determined nuclearantigen-2), LMP (latent membrane protein) を腫瘍細胞内に陽性所見として認めた.EBV核・膜蛋白発現細胞はCTL免疫機構で排除され, 伝染性単核症を初め疾患は寛解する.しかし本症例は免疫異常は認めず多量の核・膜蛋白を発現し, 全身転移を有する興味ある症例であった.EBV関与を細胞組織学レベルで検索することは臨床病態, 予後, 免疫機構などを考察するためにも重要であると考えられた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top