卵巣癌腫瘍組織内の腫瘍マーカーの局在を詳細に検討するため, 6種類の組織型の卵巣腫瘍, 計52例のパラフィン包埋組織標本を薄切後, 酵素抗体法による免疫染色 (ABC法) ならびに蛍光免疫染色を施し, それらをそれぞれ光学顕微鏡ならびに共焦点レーザー顕微鏡 (confocal laser scanning microscope, CLSM) で観察した. 使用した腫瘍マーカーの抗体はCA125, CEA, CA19-9, CA54, CA61, CA602, AFPの7種の抗体であり, 組織内のこれら抗原の局在を立体的に観察するためCLSM用の組織切片は酵素抗体法のそれよりは厚く, 10~20μmとした. また, CLSM用の蛍光染色にあたっては, 抗体の希釈濃度, 反応時間, 温度に関し, それぞれ予備実験を行い, 得られた成績に基づき指摘条件を設定した.
その結果, CEA, CA19-9, CA54, CA602の4種類の腫瘍マーカーの細胞内局在に関し, 従来の酵素抗体法でのそれよりも, 詳細な所見を得ることができた.