日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜細胞診疑陽性についての再検討
小田 瑞恵佐々木 寛藤井 雅彦
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1994 年 33 巻 6 号 p. 1068-1073

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抄録

内膜細胞診疑陽性のspecificityの向上をはかるため, 内膜細胞診で疑陽性と判定した48症例, 53検体を用い, 細胞集塊の構造異型について検討し, 以下の結果を得た.
1) 乳頭状集塊の平均出現個数は, 組織診が著変なしとされた症例では81.2±45.3個, 腺腫性増殖症では61.1±51.4個, 異型増殖症では78.7±66.0個, 高分化型腺癌では60.5±14.9個であった.このうち分岐のある集塊はおのおの42.2±21.6個 (52%), 38.5±27.7個 (63%), 49.0±43.4個 (62%), 44.0±14.1個 (72%) であった.
2) 6個以上の腺腔を内部に有する乳頭状集塊の出現率は, 組織診が著変なしでは0%, 腺腫性増殖症では36%, 異型増殖症では62%, 高分化型腺癌では100%であった.腺腔のback to back様構造を認める集塊の出現率はそれぞれ10%, 32%, 38%, 100%であった.
3) 樹枝状集塊の出現率は組織診が著変なしでは0%, 腺腫性増殖症で3.6%, 異型増殖症では15%, 高分化型腺癌では100%であった.
以上より, 内膜細胞診において乳頭状集塊中の腺腔数, 樹枝状集塊の出現の有無を観察することが重要であることが示唆された.

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