日本臨床細胞学会雑誌
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気管支擦過細胞診にて診断した肺放線菌症の1例
佐々木 政臣川口 知哉八幡 朋子若狭 研一桜井 幹己西坂 誠泰田中 繁宏
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1994 年 33 巻 6 号 p. 1119-1123

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抄録

気管支擦過細胞診にて診断した肺放線菌症の1例を報告する.症例は, 58歳, 男性.咳, 血痰のため来院.胸部X線上, 左肺上葉に浸潤影を認め気管支鏡検査を施行され, 気管支擦過細胞診にて多数の放線菌塊を認め, ただちに抗生剤療法が行われた.外来にて経過観察中, 喀血し当院入院となる.再度, 気管支鏡検査を施行され気管支擦過細胞診, 経気管支的肺生検にて肺放線菌症と診断し左肺上葉の切除術を施行された.
放線菌塊 (硫黄顆粒) は, 緑-黄褐色の不定形で, 中に放射状に広がっている多数のフィラメント様の菌糸がみられた.グロコット染色では菌糸の分岐, 胞子, 隔壁が明瞭に観察できた.組織化学的に, 硫黄顆粒はPAS, グロコット陽性の菌糸体と, PAS, アルシアン青, ムチカルミン陽性の粘液多糖類からなると考えられた.

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