日本臨床細胞学会雑誌
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甲状腺の捺印塗抹標本における凝集コロイド
広川 満良松本 智穂伊禮 功櫻井 孝規坂元 和宏三上 芳喜森谷 卓也定平 吉都清水 道生
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1995 年 34 巻 3 号 p. 409-412

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抄録

凝集コロイドは正常甲状腺の濾胞内にしばしば観察されるが, その病態的意義は明らかにされていない. われわれは術中迅速診断のために提出された正常甲状腺19例*腺腫様甲状腺腫34例, 濾胞性腺腫7例, 濾胞癌4例, 乳頭癌28例, 髄様癌4例, 悪性リンパ腫1例, 未分化癌1例の組織片から捺印塗抹標本を作製し, 凝集コロイドの出現頻度や形態学的特徴を検討した. 凝集コロイドは5~60μ大で, 境界明瞭な, 円形, 楕円形, 三日月形, 多稜形, ヘルメット形など種々の形態を呈し, 背景に散在してみられた. 凝集コロイドの出現率は正常甲状腺47.4%, 腺腫様甲状腺腫14-7%, 濾胞性腺腫28.6%, 乳頭癌3.6%で, その他の疾患では観察されなかった. 甲状腺の捺印塗抹標本においては凝集コロイドの存在は良性疾患を示唆する指標になると思われた.

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