日本臨床細胞学会雑誌
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デスモイドの塗抹細胞像
三宅 康之大杉 典子鐵原 拓雄畠 榮忠岡 好之清水 道生広川 満良
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1995 年 34 巻 3 号 p. 429-433

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抄録

4例のデスモイドの塗抹細胞像について述べる. その特徴は (1) 背景は顆粒状で, 少数のリンパ球を散在性に認めること,(2) 紡錘形の線維芽細胞が主体で, 膠原線維の混在を認めること,(3) 壊死物質や核分裂像は認められないこと,(4) 腫大した血管内皮細胞が目立つことなどであった. 腫大した血管内皮細胞は紡錘形で, 線維芽細胞とほぼ同じ大きさのため鑑別が困難であったが, 抗factor VIII抗体を用いた免疫細胞化学的検索にて血管内皮細胞は出現細胞の約20%を占めていたことが判明した. 細胞像より血管内皮細胞と線維芽細胞を鑑別するには, 血管内皮細胞はシート状に出現し, 核にコーヒー豆様の核溝がみられることに注目すべきと思われた.

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