日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜細胞診における正常内膜, 腺腫性増殖症, 高分化型腺癌の細胞学的検討
細胞集塊形態の比較を中心に
則松 良明香田 浩美浜崎 周次尾関 祐里中国 恭美古谷 満寿美梶谷 博則津嘉山 朝達
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1995 年 34 巻 3 号 p. 439-448

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抄録

今回われわれは内膜増殖症以上の病変を拾い上げ, また内膜増殖症と高分化型腺癌との鑑別について高分化型腺癌22例, 腺腫性増殖症19例, 正常内膜25例の検体を用い, 細胞集塊形態として8項目 (normal glands surrounded by endometrial stroma;以下NGSES, シート状, 土管状, 拡張腺管, 不整形突出, 乳頭状, 腺密集増殖, 樹枝状), 付随所見として4項目 (小集塊異型細胞, 炎症細胞取り込み像, 扁平上皮化生細胞, 壊死性背景) の12項目を設定して検討を行った. その結果, 子宮内膜細胞診スクリーニングの指標として (1) 異常細胞集塊出現率が20%以上の場合, 内膜増殖症以上の病変を疑う,(2) 異常細胞集塊出現率が70%以上の場合, 高分化型腺癌の可能性を含め内膜増殖症以上の病変を疑う,(3) 不整形突出集塊, 腺密集増殖集塊, 乳頭状集塊が認められるときは腺腫性増殖症以上の病変の指標と成る,(4) 樹枝状集塊は高分化型腺癌の指標となり, さらに分岐数2回以上認める樹枝状集塊を認める場合は高分化型腺癌の可能性が高い,(5) 高分化型腺癌が疑われるときは, 標本を詳細に観察し癌の細胞個々の異型判定基準を満たす小集塊異型細胞や炎症細胞取り込み像, 扁平上皮化生, 壊死性背景をみつけることが重要であると考えた.

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