日本臨床細胞学会雑誌
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多発性乳腺線維腺腫内に発生した乳頭腺管癌の1例
伊佐山 絹代舟橋 幸子根岸 永和三田 健司兼子 耕諏訪 敏一斉藤 毅内ヶ崎 新也
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1995 年 34 巻 3 号 p. 477-481

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抄録

多発性線維腺腫内発生乳癌の1例を報告する. 症例は35歳, 女性. 10年前に右乳腺症と診断され定期検診を受けていたが6年前からは放置していた. 職場検診で右乳腺腫瘤を指摘され当院外科を受診した. 超音波検査およびマンモグラフィーでは良性病変と考えられていたが穿刺吸引細胞診では重積性のある細胞集塊, 細胞の散在傾向, 半月核, 細胞質内小腺腔も認められ悪性と判定した. 乳腺広範囲切除術と術中迅速診断を施行したがsamplingした部位からは悪性像は見出し得なかった. その後, 全割組織標本で多発性線維腺腫の一結節に主として非浸潤性の乳管癌が認められた. 線維腺腫内発生乳癌は術前診断が困難であるが, 適切な検体が採取されれば診断は可能であると思われた.

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