原発性卵管癌は婦人科悪性腫瘍のなかできわめてまれな腫瘍で, しかも臨床的に予後不良とされている. 今回われわれは卵管癌3症例の細胞像を検討し, 卵管癌の細胞学的特徴について考察した.
(1) 細胞集塊は小型でし比較的大型の円形~楕円形の細胞がみられた.
(2) 細胞は重積性あるいは房状配列をとることが多かった.
(3) 核の大小不同は著しく, 核縁の肥厚が著明で, 核小体は明瞭で小型のものが多く, 一部では細胞質内空胞も認められた.
術前に卵管癌と診断するのは困難であるが, 以上の細胞所見を念頭に入れ, まれではあるが卵管癌の可能性を考慮して, 臨床的に対処する必要があると思われた.