日本臨床細胞学会雑誌
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Print ISSN : 0387-1193
子宮頸部病変の革命
特に頸部異形成に対する再考察
杉下 匡
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34 巻 (1995) 3 号 p. 522-530

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抄録

1976年にMeiselsとFortinによって子宮頸部の異形成はHPVの病変であり, さらに注目すべきことにHPVに感染した基底層の細胞はウイルスの特殊な遺伝子の発動により中層細胞を刺激し, 増殖能を与え核分裂を起こさせると報告した. 当時はあまり注目を得なかったが, 1989年のBethesda会議以来にわかに脚光を浴び, 米国を中心に子宮頸部異形成とHPVの病変の電子顕微鏡的, 分子生物学的な研究が徹底的になされた. 1991年にAmerica Society of Clinical Pathologistsによって発行されたAlexander MeiselsとCarol Morinの共著Cytopathology of theUterine Cervixを翻訳された高濱素秀教授 (埼玉医大病理) のお手伝いをする機会に恵まれ, 翻訳書「子宮頸部細胞病理学」(医歯薬出版) を勉強することができた. 本論文の内容主旨はHPVの感染に際し, 直接感染部位と無限増殖能を獲得し得た感染部位をわけて考える必要性のあること, 軽度異形成の概念が病理学と細胞診断学では基準にdiscrepancyがあり, それを解決することである. またHPV自身の性格をよく理解し頸癌の発癌多段階説を理解することによって, 核異常細胞の発生理論が確立された. 上記翻訳本の内容と著者の経験を基に, 新しい軽度異形成の概念の解説を行っている.

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