日本臨床細胞学会雑誌
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甲状腺疾患における術中捺印細胞診と術中凍結組織診の併用効果
小林 晏
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34 巻 (1995) 3 号 p. 550-556

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抄録

甲状腺疾患で, 術中診断を施行した33例につきパラフィン標本による最終診断に対する術中捺印細胞診および凍結組織診による診断の一致例数と一致率, さらに両手法併用による一致率を比較し, 両者の相補的効果を認めた. 乳頭癌では, 14例中4例が石灰化・骨化により凍結標本作製が不可能であったり, 広汎な線維化のため腫瘍細胞が切片中になく, 9例しか凍結組織切片による診断ができなかったが, 捺印細胞診では特徴的な核所見から12例の診断ができた. 濾胞癌では細胞異型が強くないと細胞診の診断は不可能であり, 凍結組織診でも腫瘍被膜や脈管内浸潤を発見して初めて確診にいたる. 未分化癌では広汎な壊死のため凍結切片中に腫瘍細胞を認めない場合, 細胞診では広い領域から材料を採取すると未分化癌細胞を散見しうる. 微小癌では肉眼的に腫瘍結節を確認できないときでも細胞診で陽性細胞を発見できることが多い. 一般的に組織の挫滅・壊死, 凍結による人工的変化があるとき, 組織標本による診断は困難だが捺印細胞診の併用により偽陽性を減少させうる. 実際, 甲状腺の術中診断で, 捺印細胞診, 凍結組織診による正診率はおのおの, 75.8%, 69.7%であるが両手法を併用することにより正診率は87.9%まで上昇した.

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