過去3年問の婦人科領域の迅速診断における細胞診の有用性を凍結組織診断に併用した捺印細胞診と術中の腹水・腹腔洗浄液の細胞診に分けて検討した. 迅速組織診断には全例で捺印細胞診が併用されていて, 捺印細胞診単独では凍結組織診断より正診率は劣るが, 併用によって凍結組織診断単独より正診率が上昇した. 捺印細胞診単独の誤診例では粘液産生腫瘍が半数を占めており, 粘液産生腫瘍では特に注意を要することが示唆された. 腹水・腹腔洗浄液の細胞診は腫瘍の漿膜因子との相関において特異性は問題がないが, 感受性に若干の問題があった. また捺印細胞診が行われた症例では確実な腫瘍細胞像を得ることができ, これは腹水・腹腔洗浄液の細胞診の判定にとっても有用であった.