日本臨床細胞学会雑誌
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腟カンジダ症の診断における子宮頸部細胞診の臨床的意義について
笹川 基石井 史郎塩田 吉一郎
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1995 年 34 巻 4 号 p. 599-602

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抄録

膣カンジダ症の診断における細胞診の診断能力に関する報告は少ない. われわれは腟カンジダ症の診断における子宮頸部細胞診の役割を明らかにするため臨床的解析を行い, 以下の結果が得られた.
(1) 腟分泌物培養でカンジダ陽性の45症例を用い, 同時に行った子宮頸部細胞診によるカンジダ検出感度を解析した. 45例中23例 (51%) の細胞診で真菌陽性と診断されており, 真菌の存在を診断できなかった症例は22例 (49%) であった. 22例の標本を再検鏡してみると, 14例では真菌の仮性菌糸または分芽胞子が認められ, 真の陰性症例は8例であった.
(2) 細胞診で真菌陽性と報告された17例で, 細胞診施行2週間後に腟分泌物培養を行い, その信頼性を検討した. 17例中16例 (94%) において培養でもカンジダ陽性の結果が得られた.
細胞診による真菌検出感度は約50%と, それほど高くなかったが, 注意深い検鏡により約80%の症例で真菌の診断が可能であると思われた. 一方, 細胞診で真菌陽性と診断された場合の信頼性はきわめて高いことが判明した.

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