60歳, 女性の腋窩部に発生した類上皮血管内皮腫の1例を経験し, その細胞像について鑑別診断を中心に検討した.
腫瘍細胞は主に乳頭状ないし平面状の上皮様細胞結合を示す集塊として出現していた. その細胞質には病理組織学的に特徴とされている大小の細胞質内空胞がみられた他に, 核には溝や, 核内細胞質封入像様の構造がみられた. 鑑別すべき腫瘍に上皮様細胞結合を示す腫瘍, 核溝や核内細胞質封入像様の構造がみられる腫瘍, 細胞質に空胞様の構造がみられる腫瘍があげられるが, 核, 細胞質双方に所見を合わせもっている腫瘍は少なく, 腫瘍の出現様式, 核所見, 細胞質所見を合わせて検討することで, 本腫瘍を推定診断することが可能ではないかと思われた.