日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部腺癌における寛解導入化学療法の細胞学的検討と臨床的効果判定
福田 耕一中村 聡岩井 京子松尾 憲人岩坂 剛杉森 甫次富 久之山崎 文朗武藤 文博原 浩一
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1995 年 34 巻 4 号 p. 729-736

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抄録

子宮頸部腺癌における寛解導入化学療法の臨床的効果と細胞変化について検討した. 対象は当科にて寛解導入化学療法MEP (MMC, Etoposide, Cisplatin) を施行した14症例である. 化学療法後の臨床奏効度と細胞組織学的効果の関連を検討した. 化学療法による腺癌細胞の変化は, まず背景は炎症性だが比較的きれい, 細胞配列はシート状, 細胞質は菲薄化, 空胞化あるいは泡沫状に変化, また多染性がみられた. 核の変化は腫大, 多核, 核小体一部腫大, そしてクロマチン・パターンは微細穎粒状で均一に分布していた. このような細胞変化を認めた場合は化学療法の効果があることが示唆された. ただし, 間質浸潤が深いにもかかわらず表層に病変がないものや表層が壊死に陥っているものでは細胞診と組織診の不一致がみられた. また粘液産生腺癌細胞は細胞質の変性のみで核異型は保持されていることがあった. この場合腺構造はなかなか崩壊せず, また細胞配列が孤立散在性になっても異型細胞が残存する傾向にあった. 寛解導入化学療法の臨床奏効度はCR2例, PR4例, NC7例で奏効率は6/13=46.2%で, 臨床奏効度と細胞組織学的効果はほぼparallelであった. 化学療法における腺癌細胞の変化は放射線療法と比較し, ダイナミックな変化はないが, それが薬剤投与量の問題なのか, 腺癌の生物学的特性によるものか今後の検討が待たれる.

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