日本臨床細胞学会雑誌
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肺癌検診における喀痰細胞診判定基準D, E例の精検結果について
松田 実宝来 威菊井 正紀楠 洋子
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1995 年 34 巻 6 号 p. 1016-1024

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抄録

大阪肺癌集検研究班では, 1981年より胸部X線撮影と喀痰細胞診による肺癌検診を実施しているが, 1990年までの10年間に, 喀痰細胞診でDあるいはEと判定された症例の, 精検および追跡調査の結果について報告する. 喀痰を提出した高危険群所属者は, 男女合計16,992人で, 有効喀痰は16,795人が提出した. 要精検者は402例, 原発性肺癌患者は28例であり, したがって陽性反応適中率は6.97%となった. 要精検者のうち判定D群は53例で, 発見された肺癌患者は14例, 陽性反応適中率は26.42%であった. 一方, 判定E群は14例で, 発見された肺癌患者は9例, 陽性反応適中率は64.29%であった. 臨床病期1期肺癌の比率は, 判定D群14例中12例85.7%と, 判定E群6例中2例33.3%よりかなり高かった. また, 判定D群14例中10例は喀痰細胞診単独発見例であり, すべて臨床病期1期であった. 肺癌または喉頭癌以外の判定D群37例, 判定E群3例を追跡し, 5年以上追跡しえた判定D群の16例, 判定E群の2例からは肺癌を発見しえず, Eと判定した2例はfalse positiveと考えられた

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