日本臨床細胞学会雑誌
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Multilobated B細胞リンパ腫
特にT細胞リンパ腫の核構造との相違点について
畠 榮坂東 美奈子山口 昌江小林 博久伊禮 功森谷 卓也定平 吉都清水 道生広川 満良真鍋 俊明
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1995 年 34 巻 6 号 p. 1047-1053

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抄録

多分葉核を伴うB細胞性リンパ腫4例 (multilobated B細胞リンパ腫), T細胞リンパ腫12例 (皮膚初発T細胞リンパ腫4例, 多形細胞型リンパ腫4例, 大細胞未分化型T細胞リンパ腫4例) を対象とし, 捺印細胞の核形態を中心とした細胞所見の相違点について検討したので報告する. 標本は捺印後95%アルコール, 乾燥固定を行いPapanicolaou染色, May-Grünwald-Giemsa染色 (以下MGG染色), H-E染色を行った. B細胞リンパ腫は, 中~ 大型の異型リンパ球が34.5~79.1%, 平均51.9%の割合で認められ, クローバー状や3分葉以上の分葉核が約40%に認められ, 6分葉以上の核は3.3~8.2%, 平均4.8%に出現した. これらの分葉像は平面的分葉を示し, 菊花様構造を呈した. 一方, T細胞系リンパ腫にみられた分葉核は, 複雑に入り込んだ立体的構造を特徴とする “脳回様構造” を示した. さらに大細胞未分化型T細胞リンパ腫では, 腎形の核や花冠状配列を呈した多核巨細胞が認められ, 一部にReed-Sternberg細胞やHodgkin細胞に類似した腫瘍細胞も認められた.
Multilobated B細胞リンパ腫は一点を中心とした菊花様構造の平面的な多分葉核を呈する点がT細胞系リンパ腫の立体的な大型核と異なることが明らかとなり, 重要な鑑別点になると思われた.

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