日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部small-cell neuroendocrine carcinomaの細胞診
山脇 孝晴手島 英雄荒井 祐司秋山 太都竹 正文藤本 郁野山内 一弘荷見 勝彦
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1995 年 34 巻 6 号 p. 1064-1069

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抄録

子宮頸部small-cell neuroendocrine carcinoma (SCNC) は, まれではあるが, きわめて予後不良な疾患であり, その診断は重要である. 一般には, 細胞診上, SCNCをその他の小型細胞癌と鑑別することは困難とされてきた.
今回, 1977年~1993年の17年間に経験した子宮頸部浸潤癌1917例中6例 (0.31%) が, H-E染色, 免疫組織化学的染色, 電顕による検索で, SCNCと確定診断された. これらの症例の細胞診標本の検討を行い, SCNCの細胞診断学的特徴を明らかにした.
1) 背景には壊死物質が多く, 炎症細胞は少ない. 2) 腫瘍細胞は, 孤立散在性あるいは結合性の弱い上皮性集塊として出現する. 3) 集塊は, 細胞配列に一定の方向性 (流れ) を認めず, また, 一部裸核状のほつれ像を伴う. 4) 核は円形~ 類円形, 細胞質は狭小, N/C比はきわめて大きく, クロマチンは細顆粒状で, 核小体は目立たない. 5) 扁平上皮癌や腺癌成分を伴うことがある.
これらの所見に注目することにより, 細胞診断学的にSCNCを推定しうる可能性が示唆された.

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