Carneyらによって提唱された甲状腺硝子化索状腺腫 (Hyalinizing trabecular adenoma of thyroid, HTA) 細胞・組織学的に乳頭癌および髄様癌に類似する特殊型の濾胞腺腫である. 今回われわれは2例のHTAを経験し, 細胞学的検索の結果, 乳頭癌とは異なる所見が得られたので報告する. HTAの細胞学的特徴は, 1) 背景にはライトグリーンに濃染する無構造な硝子様物質の出現が観察され, これらはギムザ染色において, メタクロマジーを示した. 2) 細胞集団は結合性の強いシート状ないし柵状配列を示し, 間質結合織および無構造物質を中心に配列する傾向にあった. 3) 腫瘍細胞は楕円型, 紡錘形ないし卵円形で, 細胞質はライトグリーンに淡染していた. 4) 核クロマチンは細顆粒状で均等分布を示し, 核内細胞質封入体および切れ込み核が1つの細胞集団で約10-20%にみられた. 核小体周囲明暈が散見された. 核内細胞質封入体および切れ込み核を除けば, 1) から4) の所見は, 乳頭癌との鑑別診断に有効であった. 甲状腺細胞診ではHTAを含めた乳頭癌以外の甲状腺良性疾患にも核内細胞質封入体, 切れ込み核が観察されることを考慮しておく必要性があると考えられた.