日本臨床細胞学会雑誌
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化生性乳癌の1例
その細胞像と免疫組織化学的検討
神尾 多喜浩須古 修二吉田 慎一川村 房子一門 美江井東 さやか田上 圭二三角 幹夫
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1995 年 34 巻 6 号 p. 1133-1138

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抄録

今回, われわれは骨化生が主体である化生性乳癌を経験したので, その捺印細胞診所見をのべるとともに, 免疫組織化学的検討により化生性乳癌の組織発生についても考察したので報告する.
症例は65歳, 女性. 平成6年5月右乳房腫瘤に気づき, 当院外科受診. 悪性腫瘍が疑われ, 核出生検が施行された. 捺印細胞像では, 核の大小不同, クロマチンが細~粗顆粒状に増量した腫瘍細胞が集塊を形成し, その周囲には孤立散在性に腫瘍細胞が出現し, 多核巨細胞も多数認めた. 一部に骨基質と思われるものもみられた. 組織学的には, 腫瘍の大部分は細胞異型の著明な大型多角形ないし紡錘形の肉腫様細胞が充実性に増殖し, しばしば大小の骨基質を形成し, 両者間に移行を認めた. 骨基質内の細胞にも異型を認め, 骨肉腫への分化を示していた. しばしば肉腫様部分に破骨細胞様巨細胞 (以下, OGCと略する) を認めた. 腫瘍辺縁には少量の浸潤性および非浸潤性の通常型の乳癌を認め, 肉腫様部分との移行部に紡錘形細胞が介在していた. 免疫組織化学的には癌部はEMA, ケラチン陽性, 肉腫様部分はビメンチン, アクチン陽性で, OGCの一部がビメンチン陽性であった.

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