子宮内膜粘液性腺癌 (mucinous adenocarcinoma) の細胞, 組織像について報告した. 症例は61歳で不正性器出血を主訴に某医を受診した. 肉眼的に多量の粘液を認め, 細胞像は, 粘液産生所見を反映して大小さまざまな細胞質内空胞を有する腫瘍細胞の小集塊を認めた. 組織学的には, 病巣の大部分は乳頭状構造を示し, 腫瘍細胞は大小不同が少なく, 核小体が明瞭な高分化型腺癌であるが, 一部には異型性の強い部分も認めた. また, しばしば腺管構造が腫大拡張し, 貯留した粘液内に腫瘍細胞集塊を認めた. ほとんどの細胞がPAS 染色およびアルシャンブルー染色で陽性であった. 臨床的に粘液産生著明であり, 内膜細胞診において前述した典型的な細胞質内空胞を認めた場合は, 粘液性腺癌と推定診断することが可能であると考える.