1996 年 35 巻 2 号 p. 65-70
宮城県では検診開始当初よりスクリーニングの段階でC判定以上と判断した場合には, 保存してある沈渣よりさらに4枚の標本を作製してスクリーニングし, 最初の2枚と併せて6枚の標本で診断に供している. このような再塗抹の有効性について検討した.
昭和62年度から平成5年度までの7年間に, 主にRetrospectiveに検討した結果では, 最初の2枚をスクリーニングした時点でC判定とした452例のうち, 再塗抹した標本を追加することにより最終的にD判定へと判定を変更した症例は54例あり, そのなかから5例の癌と9例の境界病変を発見した. また, 平成5年度にスクリーニング時から再塗抹, 最終診断へと診断過程を詳細に把握しえた34例では, スクリーニング時C判定とした13例のうち, 再塗抹により4例がD判定, 1例がE判定へ, また, スクリーニング時D判定とした21例中7例がE判定へと判定を変更し, 5例の癌と1例の境界病変を発見した.
以上より, 再塗抹は限られた材料からより多くの情報を得, 診断をより確実なものにする手段として有用な方法であると思われた.