日本臨床細胞学会雑誌
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前立腺分泌液細胞診の有用性について
104例の検討
瀧澤 雅美中村 恵美子清水 敏夫和食 正久川口 研二
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1996 年 35 巻 2 号 p. 88-92

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抄録

前立腺分泌液細胞診を施行した104例を対象に, 前立腺癌の早期診断における本検査の有用性について検討した. 組織学的に癌が確認された29例の細胞診所見はclass II 5例, III a 1例, IIIb 8例, IV4例, V11例であった. class IIIb以上の症例は23例で疑陽性を含めた陽性率はおよそ79%であった. 29例中触診で結節の明らかな症例は23例, 不明瞭な症例は6例で細胞診class IIIb以上と診断されたのはそれぞれ20例 (87%), 3例 (50%) であった. class IIの症例は細胞採取量不足によるもので, classIIIb8例には細胞採取量の少ない症例, 採取時の出血により細胞の変性が強い症例, 比較的早期の臨床病期B2の症例が含まれていた. 細胞診疑陽性で生検陰性の5例のうち2例に, その後のTUR-Pで癌が証明された. 病巣の部位や大きさにあまり左右されず, 広領域からの細胞が観察可能な前立腺分泌液細胞診は, 十分な採取細胞量があれぼ前立腺癌の診断法として簡便で有効な検査法と考えられる。
当院ではランダム針生検と組み合わせ, 腫瘍マーカーの異常はあるが, 臨床的に結節の不明瞭な, 癌の疑いのある症例の経過観察の一手段として活用している.

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