日本臨床細胞学会雑誌
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体腔液細胞診におけるCollagenous stromaを有する細胞集塊の細胞学的特徴ならびに診断的意義について
畠 榮鐵原 拓雄三宅 康之広川 満良
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1996 年 35 巻 3 号 p. 217-223

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抄録

体腔液細胞診材料でライトグリーン好性の無構造物質である“collagenous stroma”を有する細胞集塊の形態的特徴や症例とのかかわりを明らかにする目的で検討した.
collagenous stromaの表面に菲薄で扁平な細胞を認める1型は術中洗浄細胞診検体中に多く出現し, 疾患特異性はなく, 手術操作などにより体腔壁から剥離した中皮細胞とその直下の結合織と推測された. 表面に1~2層の立方状細胞を認めるII型は中皮腫や卵巣原発の明細胞腺癌に多数出現し, 両者と他の悪性腫瘍の鑑別の鍵になると思われた. 表面に3層以上の細胞を認めるIII型は一部の反応性中皮や中皮腫で認められ中皮細胞の特徴と思われた. 免疫染色では中皮にみられるcol有lagenous stromaはラミニン, type IVコラーゲンに陰性で, 卵巣原発の明細胞腺癌では陽性となり, 両者の鑑別に役立つ可能性が示唆された.

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