日本臨床細胞学会雑誌
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閉経後卵巣腫瘍患者における子宮腟部擦過細胞診での細胞成熟度指数 (M.I.)
上坊 敏子岩永 久美佐藤 倫也立岡 和弘蔵本 博行
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1996 年 35 巻 4 号 p. 294-299

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抄録

50歳以上の閉経後卵巣腫瘍161症例において, 子宮膣部から採取した細胞診標本の細胞成熟度指数 (Maturation Index以下M.I.) を検討し, 以下の成績を得た.
1.良性腫瘍が85例 (52.8%), 境界悪性腫瘍が11例 (6.8%), 悪性腫瘍が65例 (40.4%) であった.
2.年齢は50-98歳に分布し, 55-59歳の39例, 50-54歳の38例がピークであった. 境界悪性を含む悪性腫瘍の頻度は, 55-69歳で50-55%と高く, 70歳以上では25-29%であった.
3.閉経後年数は5年以上10年未満の症例が38例と最も多く, 悪性腫瘍の頻度は, 閉経後2年以上15年未満の症例で高かった.
4.コントロール群に比し卵巣腫瘍症例ではM. I. の右方移動を認めた. 右方移動の程度は悪性群が最も強く, 境界悪性群がそれに次いだ.
5.組織型では, 粘液性腺癌, 線維腫, 穎粒膜細胞腫で右方移動の傾向が強かった.
6.コントロール群では, 閉経後2年以上経過すると著明なM-1. の左方移動を認めたが, 卵巣腫瘍症例では, 逆に閉経後2年以上経過した症例における右方移動を認めた.

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