日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜癌細胞診における偽陰性例の検討
高林 晴夫藤井 亮太桑原 惣隆
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1996 年 35 巻 4 号 p. 300-302

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抄録

子宮体癌検診において子宮内膜細胞診の有用性は, 疑問のないところであるが, ときに偽陰性例に遭遇することがある. そこで, 偽陰性例を減少させることを目的として, 子宮体癌症例の子宮内膜細胞診偽陰性例の検討を行った.
対象症例は当科において子宮内膜細胞診, 子宮内膜組織診および子宮全摘術術後病理組織学的検索を施行した子宮体癌21例とした. 内膜細胞採取にはオネストブラシ, エンドサーチまたはエンドサイトを使用し, 同時に掻爬生検を行い, 内膜組織を採取した.
細胞診で偽陰性および誤判定と認めたのは4例 (19%) で, このうち3例が高分化型, 1例が中分化型腺癌であった. それらの4例はいずれも腫瘍が卵管子宮口周囲に限局していた.
子宮内膜細胞診において, 子宮腔特に卵管子宮口周囲に限局した腫瘍の細胞採集エラーを防ぐために, 採取器具および採取法についてさらなる工夫が必要であると考えられた.

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