日本臨床細胞学会雑誌
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胸水中に異型形質細胞が認められたBence Jones-κ型多発性骨髄腫の1例
小谷 広子郡谷 裕子三原 勝利西田 雅美奥村 博丸山 博司松田 実
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1996 年 35 巻 4 号 p. 327-331

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抄録

胸水の細胞診で骨髄腫と確定診断されたきわめてまれなBenceJones-k型多発性骨髄腫を経験したので報告する. 患者は55歳女性. 胸水中の異型形質細胞は細胞成分の95%以上を占めていた. Wright-Giemsa染色標本において, 大型の異型形質細胞は豊富な好塩基性の細胞質を有し, ときに細胞質内空胞が認められた. 核は偏在性で円~楕円形を示し, ときにくびれや切れ込みがみられた. クロマチンは微細網状で, 著明な核小体が認められた. 小型の異型形質細胞は塩基性の強い細胞質を有し, 核周明庭をもつ細胞もみられた. クロマチンは粗剛であったが, 典型的な車軸状核は認められなかった. 単核の異型形質細胞がほとんどであったが, 2核の細胞も認められた. 免疫細胞化学的染色では, 異型形質細胞は抗Kappa light chain免疫グロブリンおよびEpithelial Membrane Antigenが陽性を示した. Leucocyte Common Antigenにおいては, 大部分の異型形質細胞は陰性であったが, 一部の細胞に弱陽性ないし陽性を示した.

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