日本臨床細胞学会雑誌
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尿中に腫瘍細胞が出現した後腹膜原発悪性リンパ腫の1例
原武 晃子大田 喜孝伊藤 園江中野 祐子大田 桂子楳田 明美伊藤 裕司中村 康寛
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1996 年 35 巻 6 号 p. 572-575

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抄録

後腹膜リンパ節原発の悪性腫瘍のなかでは悪性リンパ腫が最も多いが, 尿中に腫瘍細胞が出現した例は非常にまれである.われわれは泌尿器症状を初発とし, 尿中に腫瘍細胞が出現した後腹膜原発悪性リンパ腫を経験したので報告する.
症例は51歳男性で, 血尿と背部痛を主訴に当院泌尿器科を受診した.精査の結果, 後腹膜腫瘍による右尿管閉塞, 水腎症と診断された.2回の尿細胞診が施行されたが細胞変性が強く, いくらかの異型を有するリンパ球様細胞を孤立散在性に認めた.しかし, これらはN/C比が高く, 一部に著しい核形不整も認めたため, 悪性リンパ腫を疑い免疫組織化学染色を行った.その結果, LCA (+) L26 (+) であったことよりB細胞由来の悪性リンパ腫と診断した.
このように尿中にリンパ球系腫瘍細胞が出現した場合, 変性が強く本症例のようにパパニコロウ染色のみでは判定に苦慮することが多いが, 免疫染色を併用することにより的確な診断が可能と思われた.

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