日本臨床細胞学会雑誌
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弾性線維腫の1例
その擦過細胞像
清田 秀昭山田 昭二高橋 みどり工藤 玄恵
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1996 年 35 巻 6 号 p. 582-585

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抄録

肩甲骨下部に発生したelastofibromaの細胞像について報告する.患者は茨城生まれ, 東京在住の61歳女性で, 受診1年程前より右肩甲骨下部に腫瘤を触知していた.穿刺吸引細胞診では診断しうる程の検体採取は不可能であった.摘出腫瘍のメスによる擦過細胞診において成熟した線維芽細胞, 脂肪細胞, 膠原線維の混在する検体が採取できた.そのパパニコロウ染色標本において, ライトグリーン好染性でやや光沢のある球状-数珠状の線維構造物がみられた.脱色後のエラスチカ・ワンギーソン染色で黒-黒褐色に染まり, 弾性線維であることを確認した.H-E染色組織標本では, 細胞成分の少ない錯走する線維性結合織の中に好酸性を示す, 球状-数珠状の線維構造物が無数にみられた.エラスチカ・ワンギーソン染色で特徴的な形状の黒-黒褐色に染まる弾性線維であることを認め, elastofibromaと診断された.本疾患の検体採取は, 通常手術材料からメスなどによる擦過法以外の方法では困難と考えられるが, 細胞組織が採取できれば, その成熟軟部組織内に特徴的な弾性線維が認められるため, 本疾患の診断は細胞診検体においても容易といえる.

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