本邦ではまれな子宮頸部明細胞腺癌の1例を経験したので報告する.症例は47歳, 女性.子宮癌検診にて子宮頸部上皮内癌を指摘され当科を紹介された.外来受診時および入院時に行われた子宮頸部細胞診により, 子宮頸部明細胞腺癌を推定診断し得た.細胞所見では, 明細胞型の腫瘍細胞と, 大型裸核腫瘍細胞を認めた. 明細胞型の腫瘍細胞は, レース状の淡い豊富な細胞質が目立っが, その他の所見は内頸部型腺癌の細胞学的所見と同様で, この所見単独では, 明細胞腺癌の推定診断は困難であった.しかし, 散在性に大型で著明に腫大した核小体をもつ大型裸核腫瘍細胞が多数出現していることから本疾患の推定が可能であった.子宮頸部明細胞腺癌は, まれな疾患であるが本疾患の進行例の予後は不良であることから, 細胞診スクリーニングによる早期の診断推定は重要である.