日本臨床細胞学会雑誌
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子宮体部腺線維腫の1例
飛岡 弘敏佐藤 正幸前島 澄子吉田 佳子菊川 美一山内 智文佐野 文男森 道夫
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1996 年 35 巻 6 号 p. 609-612

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抄録

術前の子宮内膜細胞診で腫瘍細胞が検出された腺線維腫 (adenofibroma) の1例を経験したので報告した. 症例は45歳女性で, 月経過多と下腹部痛を主訴とし, 腹部超音波検査で, 子宮腔内に, 漿液を入れた嚢胞を含む腫瘍が発見された. 経過中, 膣より淡黄色の漿液の流出を認め, その後腫瘍が縮小, 症状が軽減したことから, 腫瘍内嚢胞の穿破が生じたものと考えられた. その後の子宮内膜細胞診で, 一部に線毛を伴う, 異型性に乏しい高円柱上皮細胞のシート状集塊を認めた. 摘出された腫瘍は組織学的に, 子宮内膜および筋層と明瞭に境され, 一層の高円柱上皮細胞で覆われた線維性結合組織の葉状, 乳頭状の増生からなっていた. 上皮, 問質成分のいずれにも, 細胞異型, 細胞分裂像は認められなかった. われわれの検索した限りでは, 内膜細胞診で腫瘍細胞を認めた子宮adenofibromaの報告はみられない.

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