日本臨床細胞学会雑誌
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少数孤立散在パターンを示す小型乳癌細胞の細胞学的特徴
細胞形態と組織型との関係
渡辺 達男土屋 眞一町田 智恵石井 恵子寺井 直樹小池 綏男傅 麗
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1996 年 35 巻 6 号 p. 618-625

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抄録

浸潤性乳管癌176例 (乳頭腺管癌44例, 充実腺管癌51例, 硬癌81例) と浸潤性小葉癌12例, 総数188例の穿刺吸引細胞診材料を用いて, 小型癌細胞 (細胞長径: 10μm前後) の症例出現頻度, 細胞・核の平均長径および細胞出現パターンなどの形態学的特徴から, おのおのの組織型別での鑑別点を検討した. 小型癌細胞の症例出現頻度は, 45.7%(188例中86例) と約半数で, 組織型別には乳頭腺管癌: 40.9%(18/44例), 充実腺管癌: 23.5%(12/51例), 硬癌: 55.6%(45/81例), 浸潤性小葉癌: 91.7%(11/12例) であった. 小型癌細胞は従来から指摘されているように硬癌や小葉癌に多いが, 乳頭腺管癌の約半数, 充実腺管癌の1/4程度にも出現していた. 細胞長径平均値は11~14μmと各組織型ごとに異なっていたが, 核長径平均値は7μm程度で共通していた.細胞出現パターンは小型癌細胞であっても, それぞれの組織型を模倣した特徴的な所見を示すことから, その大部分は組織型推定が可能であったが, 各症例に6~20%の割合で出現する “少数孤立散在パターン” の組織推定には十分な注意が必要と思われた. このパターンの各組織型での鑑別点としては, 乳頭腺管癌では円柱状形態の出現や円柱状平行細胞 (parallel cell) の出現, 充実腺管癌では広い細胞質や辺縁の鈍角な多角型細胞 (polygon cell) の存在, 硬癌では問質基質や変性した間質細胞, お互いの核が接着する接触変形核 (contact unclei), 細胞質の一端が鋭角を示す三角形細胞の出現, 浸潤性小葉癌では微細に充満するクロマチンや立体回旋構造を示す緊満回旋核 (convoluted nucleus) などがあげられた.

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