日本臨床細胞学会雑誌
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小型細胞を主体とする乳癌の細胞学的特徴
鑑別に有用な所見の出現頻度について
伊藤 仁宮嶋 葉子梅村 しのぶ堤 寛長村 義之
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1996 年 35 巻 6 号 p. 626-631

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抄録

乳腺細胞診において, しばしぼ診断困難となる小型細胞を主体とする乳癌の細胞学的特徴を把握するために, 診断上重要な所見である核形不整, 細胞質内小腺腔 (ICL), 孤立性上皮細胞, 構造異型 (飾状構造, 索状配列) および細胞学的二相性の欠如, 免疫細胞化学的二相性の欠如についての検討を行った. 各所見の陽性率は, 核形不整39%, ICL41%, 孤立性上皮細胞78%, 構造異型31%, 細胞学的二相性の欠如90%, 免疫細胞化学的二相性の欠如94%を示した. 各所見の陽性率は組織型により異なっており, 乳頭腺管癌では核形不整, ICLなど細胞個々の異型性に乏しい場合が多く, 硬癌, 充実腺管癌では, これらの細胞異型がみられる頻度が高い. また, 硬癌では腫瘍の浸潤を示唆する特徴的な索状配列が42%で観察され, 充実腺管癌では, すべての症例で著明な散在傾向を示した. 二相性の欠如は組織型に無関係に高い陽1生率を示し, 他の悪性所見に乏しい乳頭腺管癌においても差異がみられず, 小型細胞を主体とする乳癌の診断に重要な所見と考えられた.免疫細胞化学的手法は二相性の判定に有用であるが, 筋線維芽細胞, 非浸潤癌における残存筋上皮細胞の可能性に留意することが肝要であると考えられた.

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