日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
転移性子宮腫瘍の細胞学的および組織学的検討
鈴木 孝浩伊東 英樹竹原 正輝小泉 基生武田 智幸福中 規功工藤 隆一
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 36 巻 2 号 p. 167-173

詳細
抄録

過去10年間に子宮外臓器原発悪性腫瘍の浸潤・転移が子宮に認められた21症例の臨床所見および細胞・組織像を検討した.
平均年齢55歳であり, 原発巣は卵巣癌が最も多く13例, 次いで胃癌3例, 大腸癌3例, 乳癌1例, 悪性リンパ腫1例であった. 原発性子宮頸癌・内膜癌症例の細胞像と比較すると, 各原発臓器の悪性腫瘍によって以下のような特徴的な細胞像を示すことにより, 子宮外原発であることが推定可能と考えられた.
乳癌原発症例では, 細胞が小型N/C比大, 核小体著明な細胞が特徴的であった. 胃癌原発症例では, 子宮頸部腺癌に類似した細胞像であったが, 子宮内膜細胞標本上にも必ず悪性細胞が出現することが一つの特徴であった. 大腸癌原発例では, 細胞集団が小さく, 細胞の大小不同や核小体が著明であった. 卵巣癌原発では組織型により形態が異なるが, 各組織型に類似した細胞像を示した.
このほか転移経路, コルポスコピー像および予後に関しても若干の検討・考察を行った.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top