尿道に発生した悪性黒色腫の尿細胞診像を経験したので報告する. 症例は69歳男性で, 排尿困難と血尿を主訴に受診した. 尿道生検にて移行上皮癌Grade 3と診断され, 化学療法を行った効果なく, 陰茎切断術が施行された. 腫瘍は尿道振子部に存在し, 組織学的にはメラニン穎粒を有する腫瘍細胞が充実性に増生していた. 膀胱鏡をはじめ画像検査にても他臓器に異常を認めず, 尿道原発の悪性黒色腫と最終診断した. 患者は術後8ヵ月で全身転移により死亡した. 術前尿細胞診像では, 孤立散在性から疎な乳頭状配列を示す腫瘍細胞がみられ, 核は類円形でクロマチンは穎粒状に増量し, 明瞭な核小体を有していた. 術後の蓄尿細胞診像では, 術前の細胞診像に比べ, 腫瘍細胞は孤立化, 大型化, 核偏在化を示していた.免疫染色では腫瘍細胞はHMB-45, S-100蛋白に陽性を示し, 電顕的にはメラノソームを細胞質内に認めた. 尿道に発生する悪性黒色腫はきわめてまれであるが, 尿中に出現することもあり, 鏡検する上で十分考慮し, 悪性黒色腫の可能性がある場合, 特殊染色や免疫染色を行い早期に診断することが重要であると考える.