日本臨床細胞学会雑誌
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子宮峡部に発生したcarcinofibromaの1例
白川 律子丸山 理留敬荒木 剛小池 美貴男長岡 三郎柳光 寛仁高橋 健太郎
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1997 年 36 巻 4 号 p. 408-412

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抄録

ミュラー管混合腫瘍のうち, 悪性の上皮成分に良性の問質成分を伴ったものはcarcinofibromaとして数例の報告をみる. 今回われわれは子宮峡部を中心に発育したcarcinofibromaを経験しその細胞診像を得たので報告する.
症例は49歳女性で, 異常性器出血の精査目的で受診. 頸管細胞診でclassV, 内膜細胞診陽性, 超音波エコーにて腫瘤を指摘された. 生検にてadenosquamous carcinoma, CT, MRIにて子宮頸癌StageIbと診断された。抗癌剤動注後, 広汎子宮全摘出術が施行された.
捺印細胞診では, 明らかな上皮系悪性細胞とともに間質と思われる多数の紡錘形細胞の出現が認められた. このような細胞はretrospectiveにみると術前内膜スメアにも存在していた. しかしながら, われわれの経験した症例では, 細胞診標本上で細胞密度, 核異型からは悪性との差異ははっきりしなかった. 実際上はこのような細胞が内膜や頸部のスメアに多数出現した場合鑑別は容易ではないと思われ, 今後の症例の蓄積が必要と考えられる.

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