日本臨床細胞学会雑誌
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甲状腺乳頭癌の細胞診による分化度推定の可能性について
坂本 穆彦
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1997 年 36 巻 4 号 p. 437-440

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抄録

甲状腺乳頭癌・濾胞癌の組織分類 (「甲状腺癌取扱い規約」・第4版, 第5版) では組織学的分化度からみた分類としてそれぞれ高分化型well differentiated, 低分化型poorly differentiatedの定義が記載されている.しかし, 細胞診標本による甲状腺癌の組織学的分化度分類は実地に用いられるには至っていない.とりわけ濾胞癌に関しては, 細胞診での判定で濾胞癌そのもののクライテリアが未確立であるので, 分化度分類を考慮する段階には達していない・したがって, 分化度分類は乳頭癌に論考を限ることが今日的には現実的な立場であるといえよう.乳頭癌の分化度分類での細胞診における指標を細胞集塊の出現状況におくことができるであろうことは従来よりのわれわれの考え方である (日臨細胞誌25: 993~996, 1986)。その後の乳頭癌における細胞集塊の分析を通して, 細胞集塊内の細胞配列も分化度分類の指標になし得る可能性を見出しつつある.いずれにしても, 甲状腺濾胞上皮細胞由来の悪性腫瘍の増殖・進展の過程で, 高分化癌から低分化癌へ, さらには未分化癌へというプログレッションが組織構築レベル, 細胞レベル双方の異型の程度の変化と密接な関係のもとに進行する.したがって, 分化度分類の鍵となるべき所見は形態像の中に反映されていると考えられる.それがいかなるものであるかをまず乳頭癌において明確にすることが問われている.

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