日本臨床細胞学会雑誌
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甲状腺細胞診断における免疫染色の応用
加藤 良平
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1997 年 36 巻 4 号 p. 445-449

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抄録

細胞診断学における免疫染色の有用性は広く認識されている.今日, 抗体が入手可能な甲状腺特異蛋白はサイログロブリン, トリヨードサイロニン, サイロキシン, カルシトニン, カルシトニン遺伝子関連蛋白, 甲状腺刺激ホルモン受容体などがあげられる.このうち, 前3者は濾胞上皮由来の病変の解析に使用され, 腫瘍の組織由来, 分化程度, 予後などの推定に有用である.カルシトニンは甲状腺C細胞が産生するホルモンで, この細胞に由来する甲状腺髄様癌の診断にはきわめて重要な蛋白である.甲状腺未分化癌はいずれの特異蛋白も免疫染色で陰性を示すことが多いが, サイトケラチンの証明が上皮由来の根拠となることが多い.表皮型のサイトケラチンは乳頭癌 (陽性) と濾胞性腫瘍 (陰性) の鑑別にも有用である.悪性リンパ腫と橋本甲状腺炎の鑑別には, 免疫グロブリン染色による浸潤細胞のクローナリティの検索が補助診断となりえる.以上, 免疫染色は診断の精度の向上や病変の理解に有用な補助的検査である.しかしながら, 細胞診断の迅速性を損なうことのないよう十分考慮すべきである.本稿では, 甲状腺特異蛋白の基本的知識と甲状腺病変の鑑別診断における免疫染色の有用性について述べた.

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